地区にもともとある、地域の資源を活用し、都市と農村の人の交流を推進する
>地域の魅力
この地域にもともとある田舎の魅力を、いろんな観点から紹介します
・地形と歴史
大きな3つの沼に抱かれた、昔ながらの農村
○地形
大きな3つの沼、低い標高、平地と丘の境に位置する里地・里山
新田地区は、東北地方第二位の農業生産を誇る「登米市」の西の端に位置する、昔ながらの農村です。
平地と丘陵地の境に位置するこの地区には、ラムサール条約に登録されている「伊豆沼」を含め、3つの大きな沼があり、海までのおよそ30kmの範囲には、標高6m程度の広大な低平地が広がっています。
かつて、この地域は、大雨のたびに周辺の3つの河川(一迫川、二迫川、三迫川)が氾濫する、大湿地帯だったそうです。
江戸時代以降、その広大な平坦地は水田として、丘陵地は棚田での稲作、露地野菜やシイタケの栽培、畜産の場として、地形に応じた農業が行われています。
地形の変化に富むこの地区には、地形に応じて特徴の異なる里地・里山があり、多様な生きものが沼とそれらの里地・里山を利用して、生活しています。
○貝塚
伊豆沼と長沼を取り巻く丘陵上に点在する、先史時代の遺跡
伊豆沼と長沼を取り巻く丘陵上には、縄文式土器が出土する遺跡が点在しています。
縄文中期の土器が出土していることから、新田周辺には、3~4000年前から、漁労や採集を営む人が生活していたと考えられています。
糠塚、坂戸、倉崎、唐木崎遺跡からは、淡水産の貝類の化石が主ですが、カキやハマグリ、アサリといった海産の貝類も出土しており、数千年前には迫川の流域の平坦地は、海水の混ざった深い入り江もしくは潟湖で、食資源の豊かな場所だったと考えられています。
縄文以降は、迫川からの土砂の流入によって徐々に陸地化が進み、広大な湿地帯になりました。
このことで、魚介類は減少し、交通も不便になったと考えられています。
(参考文献:登米郡新田村史)
・食文化
家庭料理の知恵と技術の再発見
○ 新田・食の文化祭
この地域の、食文化の多様さを体感してもらうお祭りです
農業、畜産、水産業が永く営まれてきた新田地区には、豊富な食資源があり、多様な料理が各家庭に受け継がれていることが、聞き取り調査から分かってきました。
地域の人たち一人ひとりが持っている、料理の知恵や技術の巧みさを、地元の人たちの間、また、ほかの地域のかたがたとも共有したい。その思いから、「新田・食の文化祭」を開催しました。
2015年の第1回 新田・食の文化祭には、「子や孫に伝えたいおらほの料理」をテーマのもと、106品のお料理が出品されました。
2016年の第2回 新田・食の文化祭は、「各家庭で作られてきたものを、○みんなが持ち寄り、○みんなでいっしょに食べ、○みんなの心が近づく場を作る」をテーマとしました。
この年のお祭りには、184品のお料理を出品していただき、会場に地域の食卓が表現されました。
お祭りの終わりには、出品された料理をいただきながら、「新田には、暮らしを支える資源と、それを活かす知恵と技術を持った人がいること」、そしてその価値を、改めて考えることができました。
・芸能
伝統舞踊、古武術、各地区で見られる史跡・旧跡
○ 古武道 柳生心眼流兵法
相手の攻撃を、無念無想の構えで待つ護身術
○ 起源
江戸時代初期、仙台藩の剣士 竹永隼人兼次によって創始された、総合武術の流派です
○ 由来
流祖竹永より、小山左門行房を経て、佐沼の相澤東軒が継承
新田地区には、幕末に仙台藩校「養賢堂」の武道教師を勤めた、唐木崎の星貞吉師範が伝えたそうです。
多くの住民が、柳生心眼流を護身術として身に着けました。
○ 特徴
棒術、剣術、甲冑術と、多くの技が伝承されている総合武術で、基本の型二十八ヶ条から始まり、相手の攻撃を八点足(八の字型の足)の、いわゆる無念無想の構えで待つ護身術です。
信仰的で勇壮な踊り
○ 起源
狩猟で犠牲になった史家の供養として始まったとする説が有力です。
○ 由来
江戸時代初期、戦の間の鹿狩りを好んだ伊達藩藩主伊達政宗は、戦の演技として鹿踊りを好んで場内へ迎え入れ、楽しんだとされています。
佐沼鹿踊には4つの踊組があり、毎年7月15日、二組ずつ交互に佐沼上(現在の鹿ヶ城)の場内で奉納するのが習わしでした。
踊り手や資金不足により、昭和初期に姿を消し、幻の郷土芸能となっていましたが、平成8年、同じ流派の水戸邊鹿子躍保存会の指導を受け、平成9年に復興されました。
○ 特徴
頭部には本物の鹿の角が左右に広がる鹿頭(ししがしら)、背中に長いササラ、前幕には伊達藩の紋所を染め抜き、大口袴をはき、腰には太鼓を下げ、太鼓をたたきながら歌って踊る、信仰的で勇壮な踊りです。
通常八頭組の踊りだそうですが、佐沼鹿踊は十頭組であるとの記録が残っています。
○ 山ノ神神楽(滝澤流南部神楽)
運動量が多く、華やかで、謡いの明瞭な神楽
○ 起源
滝澤流南部神楽の起源、文化派生や伝来については、詳細な記録や文献資料が現存しませんが、住民の災厄や五穀豊穣を祈る神事として、法印の神楽が伝承されたものと思われます。
保存地には、縄文時代中期の遺跡である糠塚遺跡や山ノ神神社もあるため、地区民の信仰の対象となっています。
○ 由来
大正5年 山ノ神の千葉盛が、現在の若柳町新田の高橋中右衛門より指導を受け、神楽座を組織しました。
その後座長となり、山ノ神神楽と称するようになったそうです。
○ 特徴
南部神楽共通の特色である、舞いと太鼓の激しさ、運動量の多さ、衣装の華やかさを有しつつ、中でも謡いの明瞭さに定評があります。
○ 白蓮太鼓
平成7年に発足した、新しい芸能
○ 起源
平成7年4月、地元の有志により発足しました。
○ きっかけ
友人がしていた太鼓に興味を覚え、友人に声掛けして、4人の太鼓チームが結成されました。
初期は新田公民館の太鼓を使い、活動を開始し、少しずつ道具をそろえつつ活動しています。
○ 特徴
基本的には女性だけの珍しいチームです。
メンバー5人で、どんなことができるかを模索しながら練習を続けています。
・自然
気候と生きもの
○ 気候と生きもの
新田の一年(概要)
新田地区は、平均気温が0℃から25℃程度と、冷涼な地域です。
最も寒い2月には、時折-10℃を下回る厳しい寒さを記録することもあり、その時期には、伊豆沼の水面全体が凍結します。
3月になると最低気温が0℃を下回る日が少しずつ少なくなっていき、そのころから、生きものの活動が少しずつ見られるようになってきます。
平均気温が10℃を超え、田んぼの作業が始まる5月頃には、農村にツバメやカエルの声が響くようになります。
最も気温の高い8月には、伊豆沼の全面がハスで覆われます。
9月には徐々に気温が下がり始め、下旬ころには田んぼが金色のじゅうたんのようになり、10月には稲刈りが行われます。
稲刈りも終わり、気温が下がってくると、伊豆沼周辺では渡り鳥の姿が見られるようになります。
季節の変化をはっきりと感じることができるのが、この地区の特徴です。○ 春
生きものが眠りから覚める季節
3月に入り、少しずつ暖かくなってくると、沼の氷も解けていき、野山ではふきのとうやツクシ、いろんな山菜などが芽吹きはじめ、梅の花が見られるようになります。
4月に入ると、最低気温が0℃を下回ることも少なくなり、人家の近くでツバメの姿が見られるようになります。
4月の半ばから5月上旬には、丘や人家の裏山、伊豆沼の周囲で桜の花を楽しむことができます。
このころから、田んぼでは代かきや田植えが行われ、カエルや虫たちが活動を始めます。
農村がにぎやかになる季節です。
○ 夏
沼一面のハスの花、田園地帯の緑の絨毯
桜の季節が終わるころ、林や田んぼの緑がどんどん濃くなっていきます。
田んぼはカエルや虫たちでにぎやかになり、トンボたちが飛び回る姿を見ることができるようになります。
人家の軒先では、ツバメが巣を作り、ひなに餌を与える姿が見られます。
季節が進むにつれて、伊豆沼の水面は、ヒシやハスなどの植物でどんどん覆われていきます。
8月には、沼一面にハスの花が咲き、沼を船で巡る、「ハス祭り」が行われます。
このころ、田んぼの稲は穂を出し、少しずつ頭をたれ始め、巣立ったツバメのひなたちが、田んぼの上で餌を採ったり、電線に並んで休んだりする姿が見られます。
○ 秋
農村がもっともにぎやかな季節です
一日の寒暖の差が大きくなっていく9月下旬頃から、一年で一番農村が豊かな収穫の時期が始まります。
右の写真のように、一本の棒に稲をかけて乾燥させる方法は「棒がけ」や「ほんにょ」と呼ばれていて、9月末から10月末まで、新田のあちこちで見られます。
この時期頃から、ツバメが南に渡りはじめ、沼にはカモやマガン、白鳥など、冬鳥の姿が見られるようになってきます
○ 冬
厳しい寒さ、たくさんの渡り鳥
12月に入ると、雪や氷、霜柱を見る機会が多くなってきます。 厳しい季節の到来です。 この頃になると、伊豆沼周辺では、マガンやカモ類、白鳥など、とてもたくさんの冬の渡り鳥の姿を、見ることができるようになってきます。
この渡り鳥たちは、冬の間、沼周辺の収穫後の田んぼで、落ち穂を食べてエネルギーを蓄えます。 冬、渡り鳥たちは沼で休み、田んぼで餌を食べて過ごします。 この渡り鳥の中で、「マガン」は、日本に渡ってくる全数のうち、およそ80%に当たる約15万羽が、伊豆沼とその周辺の地域に集まると言われています。
とても貴重な地域の宝です。
>これまでの活動
協議会の活動の記録です
第1回 新田・食の文化祭1
2015年11月22日
新田公民館(登米市迫町新田字小友65番地)
11月27日に新田地区の食文化の多様さを体感してもらうために、新田・食の文化祭を行いました。
このお祭りに、新田にお住まいの方たちから、合計106品のお料理をご出品頂きました。このお祭りについての冊子を作成しました。
小学生の宿泊体験学習
2016年2月13日(土)~14日(日)
新田小学校の児童が地域の普段のありのままの生活を体験するツアーです。家事や仕事を手伝い、寝食を共にすることで地域の温もりに触れました。
郷土食加工体験、伊豆沼の自然観察体験ツアー
2016年1月17日(日)
仙台市やその近郊に住む方を対象にしたツアーです。郷土食の加工体験、伊豆沼に飛来した渡り鳥観察、縄ない・よしず作り体験を行いました。
農業体験・食の文化祭体験ツアー
2015年11月22日(日)~23日(月)
関東近郊に住む方を対象にしたツアーです。地域の家庭料理を集めた「食の文化祭」、行事食、農業体験を行いました。
郷土食加工体験・郷土芸能発表会体験ツアー
2015年9月6日(日)
仙台市やその近郊に住む方を対象にしたツアーです。郷土食の加工体験、地域に残る郷土芸能の体験を行いました。
2016年11月27日 11:30~16:00 新田公民館(登米市迫町新田字小友65番地)
11月27日に新田地区の食文化の多様さを体感してもらう、新田・食の文化祭を行いました。
このお祭りに、約90名の方から184品のお料理をご出品頂きました。その料理の展示に加え、会場では地場産品の振るまいなども行いました。
祭りの最後には、ご出品頂いたお料理をスタッフや参加者みんなで試食する“新田の大宴会”を行いました。>新田地区活性化協議会
宮城県登米市迫町新田で、活動している団体です
【目的】
○ 地域の自然資源や人材など、もともとある田舎の魅力を活用し、都市農村の交流を推進すること
【地域の概要】
新田地区は、東北地方第二位の農業生産を誇る「登米市」の西の端に位置する、昔ながらの農村です。
平地と丘陵地の境に位置するこの地区では、稲作、畜産、露地野菜やシイタケの栽培など、地形を利用した農業が行われています。
この地区には、ラムサール条約に登録されている「伊豆沼」を含め、3つの大きな沼があり、多様な生きものがこれらの沼と周辺の環境を利用して、生活しています。新田地区活性化協議会は、この地域の自然、景観、文化などの資源を生かした活動を行っています。
【活動の概要 】
○ 食、文化、芸能、自然等の地域資源の情報収集
○ 体験プログラムの企画・運営
○ プログラムのコーディネート
○ グリーンツーリズムに関わる人材の育成
○ 情報の発信>お申し込み・お問い合わせ
新田地区活性化協議会事務局(伊豆沼農産内)
担当:佐藤裕美
TEL:0220-28-2986 FAX:0220-28-2987
新田地区活性化協議会
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